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【石浜漁港】佐藤登志夫さんと【港浜漁港】阿部力さんの一等わかめ
前回の刈り取り偏に引き続き、今回の作業は浜に戻ってからの作業です。
浜に戻ると、まずは水揚げです。
水揚げも浜により作業が異なりますが、石浜の場合は、浜に据え置かれた巨大なクレーンを使い、港浜の場合は船に取り付けてあるクレーンを使います。
浜に据え置きのクレーンは共同で使用しているため、他の人が使っている場合は順番待ちです。
浜に上げたわかめはまず、めかぶ部分や先端の変色部をカットします。
人は一杯いるのに、聞こえるのは「サクッサクッ」というめかぶを切る音だけ。
皆あまりに集中していて、話声がありません。
震災前は共同の作業場があったので、浜に200人近くが並んで作業しているのに、
「シーン」
と、不気味なほどの静けさがあったそうです。
そしてやってみるとこれが、何処から切って良いのか、束になった状態から一本一本切り取るのが難儀で、しかも中腰姿勢を継続し休む間もありません。
石浜の佐藤会長の場合、今年は種付けが少ないため船は一度しか出しませんが、大手企業に生わかめとして出荷している港浜の阿部さんの場合、1日に2度は刈りに出ます。
切っている間も次々とわかめが水揚げされます。
めかぶとわかめを分けると、刈り方(刈りに出た人)は食事、めかぶをカットしたカゴ(南三陸ではアルバイトを「カゴ」と呼んでいます)はめかぶの茎を取ります。
ここでは阿部さんのお孫さんも参戦。
小学校一年生ですが、器用に茎を取り除いていきます。
おばあちゃんにあたる阿部さんの奥さんと仲良く話をしながらカットしている様を見ると、微笑ましさと同時に、日本の食文化の原点を垣間見た気がします。
包丁は危険だから持たせないとか、寒いから暑いから、汚れるとか、そんな会話はここでは存在しません。
こうゆう風にカットした方が良い、ここに籠を置いて、こっちに座ってなど、地味ではありますが、細かいところに積み重ねてきた技術や知識があり、それを自然に子や孫に伝えていきます。
漁師の息子は、自然と漁師になる資質が備わるわけです。
この地域では、おじいちゃんおばあちゃん、子供から孫、社会人から女子高生、早い子では幼稚園に入る前から、地場産業であるわかめ作りを手伝います。
クレーンや塩からめ器(ミキサー)など、一部の機械が導入されても、根本的な作業は変わりません。
こうした、地域住民の地道な作業と努力によって、昔ながらのわかめ作りが支えられていました。