秋田県の南部に標高1,628mの栗駒山があります。大自然広がるこの地域は、秋田県・岩手県・山形県の3県にまたがり、『栗駒高原』と呼ばれ、「栗駒国定公園」として、新緑の時期や紅葉の季節には多くの観光客が訪れる場所です。
真冬の寒い時期は-10℃以下、積雪1m以上の栗駒高原の麓にある
「栗駒フーズ」では、高原にある皆瀬牧場の牛乳を原料に、地熱エネルギーを使って乳製品を加工しています。
地熱エネルギーは、栗駒高原にある渓谷「小安峡」から引いてきます。
約8kmに渡る渓谷の上流では、シューシューと小安峡大噴湯の蒸気が噴き上げています。1時間に約10トンの湯が噴き上げる様は、大地の息吹を感じさせます。
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「小安峡」は、1970年、温泉街拡張事業のとき、地下200mに温泉を掘り当て、『小安峡温泉』として、日本有数の温泉郷として名を馳せ、現在に至ります。そして、1987年(昭和62年)に通産省の「地熱エネルギー利用モデル事業」により、栗駒高原の酪農家たちによって牛乳の加工場が建設され、「栗駒フーズ」が営業を開始しました。
「栗駒フーズ」で作られる乳製品は、良質な原料乳から製造されています。栗駒高原の牧場である皆瀬牧場は、乳牛にとって、ストレスが少ない、環境の良い牧場であるための工夫がされています。そして、搾りたての原料乳は、65℃で30分間、低温殺菌処理をされることで、鮮度ある牛乳として全国に出荷されています。厳しい環境でありながら、乳牛にとっての最適な環境作りを考え、人にとっても健康と安全を考え、さらに、地球にとってのエコロジーを考えるスタイルが「栗駒フーズ」なのです。
乳牛には、青刈りトウモロコシサイレージ(青刈りデントコーン)と呼ばれる、飼料用のトウモロコシを与えています。
搾乳された原料乳に、独特の風味とほのかな甘味があるのは、このトウモロコシの甘味が影響しています。青刈りトウモロコシは、完熟した堆肥がまかれた15ヘクタールの飼料専用畑で育てられています。そして、55ヘクタールの牧草地では、種を蒔いて牧草を育て、刈り取って乾燥・発酵させてから、乳牛の飼料にします。
牧場には、乳牛になる前の若い牛(育成牛)が約30頭居ます。そして、牛舎には、約70頭の乳牛が育成され、自家製の飼料で丹念に育てられています。乳牛の肥育状況を見極め、自家製飼料で育てられることで、良質な育成管理がされます。
牛乳の美味しさは、原料乳で決まると言われます。そして、原料乳の美味しさは、日々、乳牛が飲んでいる「水」に影響されます。皆瀬牧場で育てられる乳牛が飲んでいる「水」は、栗駒山麓の天然の湧き水です。
栗駒高原では、清らかな水だけで生育される“じゅんさい”なども育ち、ブナや杉林が育つ山から湧き出る水の鮮度は、乳牛だけでなく、生産される乳製品にも多大な影響を与えています。
栗駒フーズの牛乳は、日本で唯一の温泉熱を利用して殺菌される牛乳です。しかも、65℃で30分かけて、ゆっくり低温殺菌(パスチャライズ製法)が行われています。超高温で数秒殺菌する方法と違い、時間がかかり、生産量が限られますが、牛乳の成分は壊れにくく、消化しやすい良質な牛乳が出来上がります。
皆瀬牧場で育てられる乳牛から搾乳された原料乳は、工場の検査室で厳しい検査を受けて出荷されます。ビン詰め加工されて、使用後の瓶は、全国各地のお客様から届いたものを再利用します。成分無調整で低温殺菌処理を施した牛乳は、コクがあり、成分バランスも優れています。
栗駒高原ヨーグルトは、原料乳を75℃15分の低温殺菌で乳酸発酵させました。添加物などは一切使用せず、乳酸菌が10億個生きたまま入っている、牛乳本来の風味を生かしたヨーグルトです。
アイスの原料乳は、小安峡の温泉熱を利用して作られました。1日に数百個しか製造できないため、生産には限りがあります。自社の生乳と生クリームを使うことで、独自の風味とコクがあります。