Bricolerブリコレ 東京・青山
Bricolerブリコレ 東京・青山
蜂蜜とスパイスを楽しむ
フランス伝統の味
Bricolerの「パンデピス」
Bricolerは、オーナーパティシエの中野公江さんが
丁寧に焼き上げる、
パンデピスとカヌレが2大看板の小さなフランス伝統菓子専門店です。
蜂蜜が総量の半分以上を占めます。
中野公江さんのパンデピスは、日本在住のフランス人や名だたる老舗ハイブランドからも注文が入っているという逸品です。
パンデピスの材料は、蜂蜜とスパイスの他は、小麦粉、ライ麦、牛乳、卵だけ。総量の半分以上が蜂蜜です。
スパイスはシナモン、ナツメグ、クローブ。バターなどの油脂やドライフルーツを使わずに、蜂蜜とスパイスの風味だけで仕上げています。パンとも焼き菓子とも異なる、しっとりとした食感と、奥深いちょっと苦味のある甘さと、スパイスが織りなす大人の香りで魅了します。
楽しみ方は4通りあります。
1.薄く切ってそのまま。コーヒーや紅茶、ワイン、意外にも日本酒や焼酎にも合います。
「パンデピスは熟成を楽しむお菓子です。シュトレンのように、時間とともに独特の風味と食感が生まれます。フランスには、クリスマスのアドベントに食べる地域もあります」と中野さん。フランスでは冬の食卓に欠かせない存在で、寒い時期にはホットワインも中野さんのおすすめです。
2.アイスクリームなどとともにスイーツとして。
パンデピスを割ってアイスクリームに入れたり、クリーム系チーズの上にジャムやコンフィチュールをのせて頂くと至福のデザートになります。
3.チーズ、生ハム、サラミなどとともにオードブルとして。
フォアグラ、パテ、カラスミとも合います。チーズと生ハムについては後ほどご説明します。
4.ブラウン系ソースの煮込みの具材として。
硬くなったパンデピスは、ブラウン系の煮込み料理に入れると、蜂蜜とスパイスの風味がソースの味わいを深くします。
画像のように、中野さんのパンデピスは、チーズや生ハムなどと食べて美味しく、やや甘口のスパークリングワインや赤ワインとよく合うことからフランス人に好まれ、パーティー用に欠かせない食材として注文が入るのです。これはおすすめです。
チーズはブルーなども
受け止めます。
「チーズは個性のあるハード系も合いますし、ブッラータチーズなどのナチュラルチーズとも好相性です。うちの店ではブルーチーズとコンテの熟成12ヶ月や24ヶ月のようなセミハードやハードタイプをご用意しています」と中野さん。「生ハムは、やわらかく甘みのあるプロシュートや、長期熟成で旨味の濃いハモン・セラーノなど、お好みでどうぞ」。画像は、渡辺バークシャー・純粋黒豚でつくった18ヶ月熟成の生ハムです。これもおすすめです。
ワインと素敵なマリアージュを。
「ブリコレでパンデピスとともにお出ししているのは、南アフリカのスパークリングワイン“パール・オブ・ネクター”と、フランスのローヌワイン“クリュ ヴァンソーブル キュヴェ サン
ピエール”です」と中野さん。パール・オブ・ネクターは、スパイスの香りをワインの甘みと泡の軽やかさで包み込みます。ローヌワインは果実味と穏やかなタンニンが、シナモンやクローブの香りと美しく調和します。
どちらのワインも、当サイトでお求めいただけます。
中野公江さんです。
中野公江さん(左)は、製菓学校を卒業後、通算2年半ほどパリでフランス菓子を学びました。ショコラティエ兼グラシエのクリスチャン・コンスタン氏との出会いをきっかけに、古典菓子の奥深い世界に魅せられました。帰国後の2011年にフランス伝統菓子専門店「Bricoler(ブリコレ)」をオープン。本場フランスで培った確かな技術から、フランス企業やハイブランドからの依頼も受けています。妥協を許さない中野さんのお菓子は、現地の方も認める「本物の味わい」です。
右は、妹の大竹篤美さんです。中野さんが菓子作りを担当し、大竹さんはお店の運営や販売を支えています。姉妹ならではの信頼と息の合ったチームワークが、ブリコレの魅力を生み出しています。店は、青山の裏通りにひっそりとありますが、知る人ぞ知る名店です。
パンデピスとは?
起源は中国が定説です。
パンデピスは、フランスの伝統的な焼き菓子で、直訳すると「スパイス入りのパン」という意味です。その起源は10世紀頃の中国.宋の時代に遡り、蜂蜜で小麦粉を練った硬いパン「ミコン」とされています。十字軍を通じてヨーロッパに伝わったミコンは、兵士にとって栄養豊富なエネルギー源であり、寒さから身を守る保存食でもありました。その後フランスで定着し、ブルゴーニュ地方のディジョンやアルザスで独自の発展を遂げ、現在のパンデピスとなりました。
蜂蜜が味の決め手です。
中野さんのパンデピスの蜂蜜の分量は、総量の半分以上です。そのため、蜂蜜の特徴がそのまま味に表れます。「蜂蜜は、百花蜜のような複数の花から採れた蜂蜜を使うと味わいに奥行きが出ます。産地は、カナダ、ハンガリー、ときには北海道産を季節や気候に合わせて選んでいます」と中野さん。
どこか懐かしくも安心感のあるスパイス
スパイスは、シナモン、ナツメグ、クローブを組み合わせます。「私のパンデピスのスパイスは、お菓子と食事の両方に合うように、そして食べたことがあるかも、という懐かしさや安心感に繋がる香りを目指しました」と中野さん。この絶妙な調和は、中野さんが試行錯誤を重ねて辿り着いた“黄金比”によるものです。
蜂蜜に香りを移します。
蜂蜜を温めて液状にし、そこにスパイスを加えます。この工程で、蜂蜜にスパイスの香りがしっかりと染み込みます。小麦粉、卵、牛乳で作る生地に混ぜ合わせます。
焼き上がりました。
150〜160℃で約50分間焼成します。焼き立ては香ばしく外がカリッとしていますが、時間が経つにつれて蜂蜜が生地に染み込み、艶やかでコクのあるしっとりとした食感になります。
パンデピスは熟成を
楽しむお菓子です。
お届けするパンデピスは焼き立てをお届けしますが、数日おきますとスパイスが生地に馴染み、蜂蜜のコクが際立ちます。賞味期限は2025年12月31日です。保存は常温でお願いします。クリスマスのシュトレンのように、じっくり時間をかけてその変化をお楽しみください。
次回は、カヌレもお届けします。
中野さんのカヌレは、銅のカヌレ型で蜜蝋を使います。数週間生地を熟成してから高温で焼き上げる、本格派です。
文・林麻実
撮影・天方晴子
Bricoler
渋谷区神宮前3-7-4 和泉ビル2F
営業時間:10:00〜17:00
※不定休のためお店にお問い合わせください。
Bricoler は、2011年に東京青山にフランス伝統菓子専門店として、オーナーシェフの中野公江さんが開店しました。フランスの伝統製法に則った地方菓子を中心に、お酒に合うお菓子も製造しています。



