ヨーロッパ伝統菓子を磨き上げた“大人の駄菓子屋“
知る人ぞ知る名店
「パティスリー キュイッソン」
千葉県・茂原の住宅街にあるパティスリー キュイッソンは、ヨーロッパ伝統菓子を得意とする、知る人ぞ知る名店です。甘いいい香りが漂う店内に入ると、焼き菓子、クッキー、ジャム、ギモーヴ、パート・ドゥ・フリュイなど常時約200種類が並ぶ店内に、テンションが一気に上がります。カゴを片手にどれを選ぼうか悩む楽しみは 「うちは大人の駄菓子屋なんです」という店主の齋藤由子さんの言葉そのままです。
ヨーロッパ伝統菓子のおいしさを追求
スペシャリテは2011年の開店当時から作っているマドレーヌです。フランス菓子を扱う店ならどこでも置いている定番商品ですが、キュイッソンの「マドレーヌ オ ミエル」はハチミツの香りとしっとり感が格別です。
おいしさの秘密は、マドレーヌが焼き上がった直後に厳選したハチミツを一つひとつ丁寧に染み込ませるひと手間にあります。しっとり感がアップして、口にするとハチミツの香りとうま味が口いっぱいに広がります。「こんな味にしたい」とイメージしたものに近づけようと、レシピの追求と手間を惜しまない齋藤さんの姿勢はどのお菓子にも共通するもの。何を食べても他店とは一味違う“キュイッソンの味“に仕上がっていることにうならされます。
「おいしいお菓子の味を
たくさん舌に覚えさせた」
店主の斎藤さんは菓子作りの道を目指して製菓の専門学校を出るとすぐに、フランス西部のラヴァルという町のショコラトリーで修行しました。早朝4:30から夕方5:00くらいまで店の仕事をした後には現地の飲食店で食べ歩くなど、貪欲に学んだといいます。日本に戻ってからはパティスリー・ドゥ・シェフ・フジウの藤生義治氏など有名パティシエの店をいくつか経験し、それぞれの店で「おいしいお菓子の味をたくさん舌に覚えさせました」(斎藤さん)。
ジェラート、パネットーネ…
広がるラインアップ
開店当初はマドレーヌやフィナンシェなど素朴な焼き菓子から始まったキュイッソンですが、お客の声を受けながら予約販売のアントルメ(デコレーションケーキやタルトなど)を扱うようになったり、本格的なジェラートを通年で作ったりと、ラインアップの幅を精力的に広げています。
ジェラートは、「コロナ禍をきっかけに補助金を得てイタリア製の装置を導入し、研究を重ねました」(齋藤さん)。洋酒やスパイス、フルーツなどの香りを組み合わせて、素材の味をしっかり引き出すという齋藤さんの焼き菓子作りにおけるアプローチが、ジェラート作りにも生かされています。
店内に設けられたジェラートの対面販売のコーナー。ジェラートのブランド名は「FRISSON」
季節限定の焼き菓子やギフトも充実
主力の焼き菓子のラインアップも増やしています。クリスマスシーズンには、今やかなり知られるようになったドイツ発祥の「シュトレン」に加えて、イタリア・ミラノ発祥の「パネットーネ」や、フランス・アルザス地方の伝統菓子「ベラヴェッカ」「パン・デピス」が勢ぞろいして店頭を賑わせます。「素朴で見た目はシンプルな焼菓子にもそれぞれ個性や歴史があり、噛みしめれば噛みしめるほど素材を感じて味わいが変化し奥深い。ぜひそれを楽しんでほしいです」と齋藤さんは語ります。
パネットーネはイタリア・ミラノ発祥のクリスマス菓子。
イタリア産の小麦粉とイタリア産のパネットーネ用酵母を使用した本格的な製法で作り、ほのかにヨーグルトのような爽やかな香りが漂う。
パッケージデザインも自ら手掛けた
何を食べてもおいしいキュイッソンのお菓子やスイーツは、正直なところどれもおすすめですが、初めて食べるならマドレーヌ、フィナンシェ、クッキーの詰め合わせが良いかもしれません。一つひとつレシピを追求して生まれた“キュイッソンの味“を、ぜひご自身の舌で確かめてみてください。ギフトボックスに入れてリボンをかけてお届けしますので、ギフトにも最適です。
取材・文/大屋奈緒子
写真/大山裕平



