難しいぶどうも見事なまでに仕上げる篤農家
長野県 上田市
林健三さんの葡萄

長野県上田市は、果樹ではりんごと葡萄がとても有名な産地です。ひと昔前は「上田の巨峰」と言えば有名で、名産地として名を馳せたものです。
今でも巨峰の名産地で変わりありませんが、各産地から新しいぶどうが次々と登場する時代となりました。一世を風靡した巨峰も、徐々に新しい品種に植え替わっています。
林健三さんも2015年くらいまでは巨峰を中心に据えていましたが、時代の移り変わりとともに作る品種を替えてきました。当時から様々な品種を作っており、土地にあった品種かどうかを見定めながら栽培しています。
現在、ご子息お二人とも(写真は次男の美樹生さん)葡萄農家としてそれぞれの園地をもち栽培しています。現在の日本の農業は後継者不足が深刻で、いかに続けていくことが困難な時代であるか、青果業界をみているとわかります。休みもほとんどなく会社勤めと比べて金銭的な見返りが大きいわけではない。台風のような天災があっても補償などありません。
そのような時代背景の中でも、ご子息お二人が農業の道を選ぶわけです。林健三さんの仕事がいかに素晴らしいかわかります。是非たくさんの方にお楽しみいただきたいです。
2024年10月12日撮影
夏でも涼しい風が吹き抜けていく
標高570mの山際にある園地

水はけが良い、傾斜がある園地では、雨で割れやすい「ナガノパープル」を栽培しています。すぐ裏は山です。

写真は「アウローラ21」。現在出回っているすべての品種の中でもトップクラスの大粒です。生産者は限られています。

アウローラの大きなものは1粒で50gにもなります。シャインマスカットで一番大きいと思えるもので30gほどなので、極めて大きな粒です。皮ごと食べることができます。

黒々とした巨峰。生産量が減っていることが残念ですが、元々巨峰に力を入れていた林さんだけあり、とても味が濃いです。
林健三さんは、ぶどうの育種家から「アウローラ21」「アリサ」という品種の試験販売を託されるほど高い技術を持つ生産者。篤農家と呼ばれる腕利きの生産者が栽培方法を確立してから、栽培方法が世の中に広がっていくのです。
林さんの園地は上田市の中でも標高が高い標高570mの場所にあり、山の斜面の中腹にあります。病害虫がやってくる環境は大変そうですが、夏でも涼しい風が吹き抜ける山の園地は、人間だけでなく葡萄も冷やしてくれます。
こだわりの土づくり。安心安全を目指します。
林さんの栽培は有機質肥料を基幹として、サンゴ化石や米ぬかなど、ぶどうの甘みと味わいを引き出すための養分を供給します。化成肥料は極力使用しません。
また、病気に弱いぶどう栽培で、極力農薬を抑えた栽培をしています。食べる人のことを考え人一倍努力されています。
雨量は年間で900mmほどの
乾燥した土地
長野県上田市の魅力

上田市の中心部は、東から西に千曲川が横切ります。千曲川が流れる場所が一番標高が低く420mほどで、農作物は800m程度までの場所で栽培されています。
北は菅平高原、南は美ケ原高原と2,000メートル級の山々に囲まれた文字通りの盆地(お盆の底)です。夏の最高気温は35℃前後、そして冬は-10度以下まで下がる内陸性の気候で、全国でも有数の少雨乾燥地帯として知られます。年間で900mm程度しか雨が降りません。全国平均は1,600mmほどと考えるとどれほど少ないかわかります。
室町時代の伝承で当時から雨が少ない土地であることがわかります。
林さんの園地がある上田市富士山という地名は、この地にある「富士嶽山」からきています。頂上には富士嶽神社の奥宮が祀られており、地元では雨乞いの山として信仰されてきました。室町時代の1466年にも「日照りが続き、村人たちが山で雨乞いをした」という伝承が残っていることから、歴史的に雨が少ないのです。
また、夏は日中33℃に上がっても、朝方には20度程度になりるため、朝方は肌寒さを感じるそうです。
年間の気温差、昼夜の寒暖差も大きく、晴天率も高いためぶどうは糖度が上がり着色に優れたものが出来ます。巨峰の名産地であることは偶然ではありません。
昼夜の寒暖差の大きさから
「富士の輝」も真っ黒に色づきます。

「富士の輝(ふじのかがやき)は、山梨県の志村富男さんが作った糖度も着色も素晴らしい葡萄です。自分としても中途半端なものは出したくない。」と林健三さんは言います。
富士の輝は、シャインマスカットの血を引き、皮ごと食べられて強い甘さを持ちます。さらに黒葡萄のコクまで手に入れた「富士の輝」は、全国のぶどう農家の集まり(JVC)でも「最も栽培してみたい葡萄」に選ばれています。
しかし、そんなぶどう農家憧れの品種も、栽培が難しいため、上手に仕上げられる生産者は限られています。高い技術を持つ林健三さんの腕があってこそ「富士の輝」は成り立ちます。
2024年9月下旬、林健三さんの「富士の輝」は、収穫から2週間前の時点で糖度22度超が出ていました。最終的には糖度24度ほどになっていたはずです。それだけ高い糖度が出ても林さんはしっかりと着色し、味が乗るまで待つため、黒々とした本物の「富士の輝」に仕上がっていました。
今の時代は、シャインマスカットがとびぬけた存在です。そんな時代にあって、巨峰の名産地である上田市でぶどう栽培をする林さんは、「もう一度、黒ぶどう特有の濃厚な味をたくさんの人に知ってほしい」と言います。
是非、林健三さんの葡萄を楽しみください。
文:(株)食文化 赤羽 冬彦
複数の配達期間が選べます
9/29〜10/11出荷◇ 林健三さんのぶどう 『富士の輝』 長野県 上田産 1房 約500g ※冷蔵 ブラックシャインマスカット
5,300円(税込)
- 販売中 在庫数 19
- 長野県上田市 林健三さん
複数の配達期間が選べます
9/29〜10/11出荷◇ 林健三さんの葡萄 『アウローラ21』 長野県上田産 1房 約500g ※常温
6,300円(税込)
- 販売中 在庫数 14
- 長野県上田市 林健三さん