稲が本来持つ環境適応能力を引き出した
気候変動に強い次世代のコシヒカリ
新大コシヒカリ
気候変動が進む時代において、非常に重要な役割を担うであろう注目品種「新大(しんだい)コシヒカリ」です。
近年、夏季の記録的な猛暑や降水量不足といった気候変動により、米どころ新潟でも高温障害によるお米の白未熟粒の発生や一等米比率の低下が課題となっています。稲の成長期に高温が続くと、美味しさの核となるデンプンの蓄積が妨げられてしまうためです。
そうした過酷な環境下でも、しっかりとデンプンを蓄え、透明感のある美しい見た目と、ふっくらとした味・粘りを維持できるよう開発されたのが、この『新大コシヒカリ』です。
約20年の歳月をかけて誕生した高温・高CO2耐性品種
開発を手掛けたのは、新潟大学農学部の三ツ井敏明教授。
他品種との交配による品種改良ではなく、従来型のコシヒカリに高温環境を与えることで、稲自身が持つ潜在的な「環境適応能力」を引き出すというアプローチをとりました。
他品種の血を混ぜていないため、コシヒカリ本来の豊かな香りと味わいがそのまま受け継がれています。
一年に一度しか収穫できない稲の研究は非常に時間がかかり、求める特性を持った個体が現れる確率はわずか約1.5%ほど。繰り返しの実証実験と約20年もの歳月を経て、2020年に「NU1号」として品種登録されました。
その後の生産試験でも、従来のコシヒカリと遜色ない食味と収穫量が確認され、2023年には正式名称『新大コシヒカリ』として普及が本格化。夏の猛暑下でも高い整粒率(きれいなお米の割合)を維持できる安定した品質で、高い評価を得ています。
伝統の食味を次世代へつなぐ、生産者の期待
新潟県を代表するブランド米「コシヒカリ」。
長年親しまれてきたその味と知名度から、生産者の皆さまもコシヒカリに対して強い愛着と誇りを持っています。
甘さ、心地よい粘り、芳醇な香りはもちろん、水の量や浸水時間によって固めから柔らかめまで好みの食感に炊き分けられる万能さもコシヒカリの魅力です。
「新大コシヒカリ」は、その理想的な食味を保ちながら地球温暖化に対応できるため、地元の生産者からも大きな期待を寄せられています。
当店では、開発元である新潟大学および生産・出荷を担う越後ファームと連携し、『新大コシヒカリ』の魅力を全国へお届けしています。
ごはんソムリエ®が解説する『新大コシヒカリ』の食味と品質
精白米の外観は、濁りが少なく非常に美しい仕上がりです。 お米は十分に成熟してデンプンがしっかり詰まることで透明感のある「整粒」となります。『新大コシヒカリ』は猛暑の年であっても白未熟粒が非常に出にくく、高い整粒率と安定した品質を保てる点が最大の強みです。
炊きあがりは粒立ちが良く、口に入れるとしゃきっとした食感のあとに心地よい粘りと深い甘み、香りが広がります。
お米本来の豊かな旨味をしっかり備えているため、梅干しや漬物はもちろん、お魚やお肉料理など、しっかりした味付けのおかずと合わせても引き立ちます。炊き込みご飯や卵かけご飯、塩引き鮭などとの相性も抜群です。
これからの気候変動時代においても、変わらない「理想のコシヒカリ」を味わえる期待の品種です。ぜひ一度ご賞味ください。
文:㈱食文化 八尾昌輝
撮影:八木澤芳彦



