デリーで圧倒的人気のカレー「カシミール」
「デリー銀座店」8代目シェフ財川和之 カシミールカレーを語る
カシミールにない“カシミールカレー”
デリーの一番人気の 『カシミールカレー』
実はインド・パキスタンの国境地帯のカシミール地方には存在しません。
創業間もない頃、ようやくシャブシャブのインドカレーに慣れてきた常連客の『もっと辛いカレーはないのか?』
とのリクエストに答え続けた結果、生み出されたのがカシミールカレーと言われています。
最初は辛くて拒絶反応を起こしてしまうほどの味。ところが、不思議とまた食べたくなる、まさに『麻薬的なカレー』
それがカシミールです。子供の口には合いませんが、多くの大人たちを虜にしてきたカレー それがカシミールです。
今回はその麻薬的カレー 劇辛のカシミールの謎に迫ります。
私のカシミールカレーへの想い
私が初めてカシミールを食べた時の印象は「辛い」の一言。
正直言って好きなカレーではなかったです。ところが、不思議なことに、味見のために毎朝必ず食べているうちに「そんなに好きじゃないけど、
ないと寂しい」という気持ちが芽生え始めました。特に休み明けには必ず食べたくなるんです。「中毒性がある」とおっしゃる人もいますが、
確かにそうかもしれません。
今では断然、一番好きなカレーはカシミールです。「うちのカシミールカレーは日本一!」と思っています。
当店のカレーは日本人の味覚に合う味をめざしています。
だからカレーに合わせる米も当然、日本のお米。
カシミールカレーには栃木産コシヒカリを使用しています。
新潟産などよりも、関東産のコシヒカリのほうが相性が良いように思います。
インディカ米よりも日本米、とりわけ関東産のコシヒカリと食べると、
ぐっとカシミールカレーがおいしくなるんです。
カシミールカレーの作り方
大量の玉ねぎが味の鍵
私にとって、カシミールカレーの作り方のキモだったのが、玉ねぎの炒め方。
最初に玉ねぎ3kgに対して生姜100gを加え、ラードで炒めて玉ねぎの水分を90%飛ばします。
寸胴(鍋)につきっきりで6時間も炒めるので、体力的にも精神的にもきつい作業です。 早く水分を飛ばそうと火を強くすると、不思議なことにカレーの味に深みが出ないのです。辛さの中に甘みとコクがあるカシミールカレーの味。自分で納得のいく味に作れるようになるまで、3年ぐらいかかりました。
実は玉ねぎの炒め方にその秘密があったのです。
弱めの火加減でじっくりと、水分を徐々に飛ばしながら、焦がさずきれいに仕上げるのがポイントです。カレーのベースには玉ねぎのほか、ニンニク、じゃがいも、リンゴ、ニンジンをミキサーにかけたジュースも入っています。 カシミールはサラリとしたカレーですが、野菜の凝縮された味が、スパイスの辛味や香りを裏で支えているのです。
1グラムでも差が出るスパイス調合
使用するスパイスは15種類。 辛さの元はカイエンペッパー、辛さを引き立てるコリアンダー、色を出すターメリックなどが、主なスパイスです。1gでも味が変わってくるので、スパイスの配合にも気を使います。また、季節季節でスパイスの味が変わりますので、変わらないカシミールの味を提供するには、言葉に言えない数多くのコツがあります。
隠し味には日本の味
これもカシミールが日本人の味覚に合う理由でもありますが、隠し味として少量の醤油、塩、ケチャップなども入っています。
50年近く、多くのファンを麻痺させ続けてきたカシミールカレー。
完成するまで、約10時間もかかります。
特別共同企画
老舗カレー屋「デリー」と水沢うどんの名店「大澤屋」キーマカレーうどん
カレーの老舗「デリー」と水沢うどんの名店「大澤屋」が初めてコラボレーションして登場した「キーマカレーうどん」。
デリーの社長自らインドで選び抜いたスパイスを特別にブレンドした、挽肉たっぷりのキーマカレーと大澤屋の風味が生きた半生うどんを合わせました。
名店同士のうまいところを惜しむことなく融合した特別商品です。この機会にぜひお召上がりください。