およそ20年前、香川県の有馬秀昭さんは「ミネラルの宝庫」と言われる
ボリビア食材に興味を持ち、現地へ向かいました。
第一印象は、不思議なことにどこか懐かしさを感じたそうです。
食材もさることながら、ウユニ、ラグナ・ベルテなどの絶景に感動し、
瞬く間に虜になりました。その後、1997年に塩専売制度が廃止されたのを機に、
「良質なアンデスの岩塩を日本に届けたい」と考え、
サンタ・クルスに拠点を作り、まずはボリビア岩塩の直輸入を始めました。
チアシードオイルとの出会いは、2008年。ボリビアの友人宅で家庭料理をご馳走になった時です。
その友人は、自らチアシードを栽培していて、
有馬さんは初めて搾りたてのチアシードオイルを食しました。
そのオイルはとてもフレッシュで、衝撃的な旨さだったと言います。
日本に帰国してからもその味が忘れられず、
国産のチアシードオイルを探しましたが見つけられませんでした。
ドイツやオーストラリアのメーカーからチアシードオイルを取り寄せてみても、
ボリビアで食したオイルとは全く違い、決して美味しくありません。
その思いが日に日に強くなり、自らボリビアで加工したチアシードオイルを輸入しました。
しかし、それでもチアシードオイル本来の美味しさを感じることが出来ませんでした。
なぜこんなに違うのか?色々要因をつぶしていったところ、
友人宅で食したオイルは、搾りたてだった事に気付きました。
ボリビアからの輸送中に酸化が進み、味が変化していたのです。
その時、有馬さんは発芽するチアシード(生きている種子)を自社で搾油することで、
あの衝撃的に美味しいオイルをお客様に届けることが出来ると確信しました。
それから着々と準備を進め、2016年5月、ようやく自社で有機JAS加工工場の認定を取得。
無農薬栽培されたチアシードを現地で買い付け、コンテナで輸入し、搾油しました。
そのオイルは、まさしく友人宅で食した美味しいチアシードオイルそのもの。
有馬さんは、8年の歳月をかけて、究極の生搾りチアシードオイルを完成させたのです。
有馬さんのこだわりは、自ら目利きした有機JAS認定のチアシードを自ら搾るだけではありません。広く出回っている「コールドプレスオイル」は、スクリュー式の搾油機で搾るのが一般的です。
しかし、スクリュー式だとどうしても摩擦熱が発生してしまい、熱に弱い酵素やビタミンなどの栄養素はわずかですが破壊されてしまいます。そこで、有馬さんは 「単圧式」の搾油機を採用。これは、下から上に約100tの圧をかけるもので、本来は椿オイルを搾るために作られました。日本に50機もない極めて希少で高価な搾油機です。

1回の搾油で使用する
チアシードは約4kg
20分かけて約1kgの
オイルを搾ります
搾りたてのオイルの温度を測ると28度台。驚くことにほとんど熱が発生していません。また、搾ったあとのチアシードを触ってみると、しっとりしています。これは搾油後も種にオイルが残っている証拠です。生産効率は悪いですが、この手間とコストをかけることで、本来の機能性成分が最大限に活きたチアシードオイルが完成します。そのまましばらく置いておくとオイルの底に搾り粕が沈殿するのもその証です。
小さじ1杯(5ml)に含まれるオメガ3は約3g。これは真イワシ約2尾分に相当します。食事摂取基準においてオメガ3の目安量が最も高い50〜69歳男性で2.4g。チアシードオイルであれば、小さじ1杯でクリアできます。またチアシードの16%は植物性たんぱく質であり、 | 必須アミノ酸9種類のうち8種類が含まれます。
必須アミノ酸を多く含む食品のほとんどが動物性で高カロリーであることを考慮すると、低カロリーかつ手軽に多様な必須アミノ酸を摂取できる植物性食品として、チアシードは特筆すべき存在といえます。 |
オメガ3の含有量が
最高クラス!
毎日小さじ1杯で
摂取目安量が
クリア出来ます
チアシードの最大の特徴は、成分の25〜40%を占める油分。そのうち60%をオメガ3のαリノレン酸、20%をオメガ6のリノール酸が占めます。他のオイルと比べても、オメガ3の比率は最も高く、この構成比が近年注目されるようになった理由です。日本では、ダイエット食品のイメージが強いチアシードオイルですが、ボリビアではオメガ3を摂るために親が子供に食べさせます。
一般的にオメガ3の含有量が高いオイルは独特の臭みがあり、その臭いが苦手という方も多いです。
しかし、この生搾りチアシードオイルはそのような嫌な臭さはありません。
表現するのは難しいですが、オイルサーディンの上澄みの部分だけを汲み取ったような味わいです。
極めて上品でそのまま飲むと、オイルというより生搾りジュースに近いです。
非常にサラッとしていて、手で触ってもベトベトせず、
すぐに吸収されるような他にはないチアシードオイルと言えます。
チアの原産地は、メキシコ中西部からグラアテマラ北部の山岳地帯。
1159〜1519年頃までは、繁栄していたアステカ文明の原住民たちによって、
豆類、トウモロコシなどと一緒に主食となる食材として栽培されていました。
チアの種「チアシード」は、そのまま生でも、他の作物と混ぜたり、水に混ぜて飲んだり、
薬の材料としても使われていたことが明らかになっています。
同時に圧搾して油を搾り出し身体や顔の塗料としても使われていました。
アステカ族だけでなく、中米地域のマヤ族の兵士たちは非常に勇敢でした。
理由は、強さ・活力・決断力の源である素晴らしい食物に恵まれていたからで、
その中で最も優れた食物が「チア」の種です。
当時は「走るための食物」とも呼ばれ、チアが意味する通り「力」の源でした。
大さじ1程度のチアシードを食べれば、1日生き長らえることができたという言い伝えもあり、現在のメキシコ・チアパ州は、以前のマヤ族の領土であり、ナハトル語で「チア川」を意味する「チアパン」からその名が付いたことから、いかにその地域で親しまれていたのかが分かります。チアシードは征服された民族によりアステカ族に貢ぎ物として提供され、アステカ族はそれを宗教儀式の際に神々に捧げていました。
しかし1519年、メキシコがスペイン人に征服されたことにより、一時、栽培が禁止。これは、チアがアステカ族の成功と信仰に不可欠だったためで、スペイン人は文明を破壊するために広大な生産地を完全に焼き払いました。その後、数百年もの間、生産市場から姿を消しましたが、1978年に食物科学者アル・バッシェウェイ博士によりチアシードが身体にもたらす効果が明らかにされ、ボリビアをはじめとする中南米で栽培が再開されるようになりました。

南緯3.5度〜29度までのペルー・ボリビアチリ北部の地域は、中央アンデスと呼ばれます。中央アンデス高地は、低緯度地帯に位置しているため、気候は比較的温暖です。しかし、農業を行う上で決して適しているわけではありません。農耕限界に近い標高4000m前後の高地は、植物にとってで極限状態にあります。
まず、全般的に降雨量が年間300〜400mmと乏しく、年によって降雨の時期や降雨量の変動が大きいこと。そして、長い乾期の存在や一日の激しい気温変化。絶対的な気温の低さなどが有機物の分解を妨げるため、土壌が貧弱です。しかし、この厳しい環境だからこそ、機能性に優れたチアが育ちます。また高地のため害虫自体が少なく、農薬を使用しなくて良いので極めて安全性が高いです。

究極の生搾りチアシードオイルを企画するにあたり、ボリビア多民族国の大使館を訪ねました。完成したオイルを試飲したところヒメナ・ナシフ臨時代理大使をはじめとするスタッフの方々から太鼓判を頂戴しました。今後ボリビア食材を原料に様々な企画をご案内しますのでぜひ楽しみにお待ちください。
ボリビア多民族国大使館にて
左・うまいもんドットコム代表 萩原章史
右・臨時代理大使 ヒメナ・ナシフさん

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