菱沼健一が育てる
究極の桃
慌てず、桃の品種の癖や特徴を活かす為に、樹を観察する。
どんなミネラルが欲しいのか?どんな酵素が欲しいのか?
観察することで、樹とコミュニケーションをする。
桃も、さくらんぼも、リンゴも、人間も皆同じ。
余分なものは、為にはならない。
菱沼健一・談
玉うさぎ、甘甘燦々、
ゆめかおり、桃水、光月
超レア桃の品種が集まる菱沼農園は
桃マニア垂涎の桃源郷
山の農地でスタート
害獣との戦いに疲れ、平地へ
昭和28年2月生まれの菱沼健一さんは、農業経験50年以上、ベテランの農業者です。
菱沼さんの祖父が職業軍人で、退役後に農業をやろうと福島市飯坂町の山の畑を購入したのが、菱沼農園のルーツ。祖父は職業軍人ですから、農業を自らやらなかったので、戦後の農地解放で接収されそうになった為、菱沼さんの父上が農家になり、実質的な菱沼農園が始まりました。
菱沼さんは農業関係の学校を卒業し、20歳から専業農家となり50年以上。
最初はウサギとの戦いだったそうです。ウサギの駆除に成功したら、次はカモシカ。相馬あたりの漁師から漁網を譲り受け、圃場を取り囲み、カモシカ害の駆除に成功したものの、次は猿。この猿は手ごわく、どんなことをしても、頭が良い猿には見破られてしまい、山の農地を諦め、平地の農地を求めることで、段々、作付面積を増やしていったそうです。
ちょうど、後継ぎがいないなどの理由で、農地を手放す農家が増えてきた時期で、菱沼さんは自らの拠点を現在の地域に作ることができました。
最初は温泉街の売店で販売
菱沼さんが農業を本格的に広げた頃、飯坂温泉は景気が良く、先ず、温泉街の売店でフルーツの販売を始めました。色々な消費者のニーズを目の当たりにし、菱沼さんは色々なことにチャレンジしたそうですが、間もなく、温泉は不況となり、次に通販に乗り出しました。
菱沼さんの素晴らしいのは、生産活動としての農業はもちろん、早くから、消費者への販売に力をいれ、消費者の求めるものを実現しようとしてきたことです。
今では、大手の量販店からも指名買いが入るほどの菱沼農園のフルーツですが、最初はゼロどころか、マイナスからの出発だったわけです。
さくら白桃
カリッとした歯ごたえのある品種です。
玉うさぎ
しっかりした果肉が美味!
ゆめかおり
超大玉になる品種。菱沼さんの夢香りは大玉と小玉が対でなります!不思議。
桃水
糖度23度にもなる超高糖度桃です。
菱沼さんは長い目で
果樹栽培を考えます
菱沼さんは、最初から大量に肥料を入れるようなことはしません。最初は足りないくらいが良いそうです。その樹が欲する物質は何かを見つめ、観察し続けることで、感性を磨き、遠回りになるようでも、樹を長期的に活かすことを目指しています。
人も桃も同じ。無理をさせれば、どこかで障害がでるもの。 ある程度、樹の好きにさせる。根元に日が当たるくらいで、 細かな枝も活かす。
菱沼さん談
土地と品種の相性を見極め、基本的な肥料はもちろん、不足している微量元素や酵素を見つけることが大切だそうです。
色々な品種を育てる楽しみ
何よりも味を大切にする
『農家だって、同じ品種を育てるだけではつまらない。色々と作ると楽しいよ。』
もちろん、食べる楽しみもあります。菱沼さんは限界まで樹上で完熟させることにこだわり、多少の傷みやすさのリスクを取っても、味を優先しています。
収穫の時は、あえて枝を折っても 日持ちを優先させています。また、果樹に色付ける為に葉を摘む(日光を当てる為)のも最低限にしています。色づきよりも味です。
福島県の農家ですから、原発の風評被害でひどい目にあっている菱沼さんですが、そんなことを少しも言わないのが、素晴らしいです。
プロ中のプロに出会った福島取材でした。
食文化 代表 萩原章史



