巨果 幻の沖縄のキーツマンゴー
赤いマンゴーの2倍以上にもなる巨果 大きなものは2kg近くになる、美味なキーツマンゴー 果肉の高い糖度と木目の細やかさ食感は比
緑色の果皮はブルーム(白い粉)で覆われ地味ですが、 そのサイズ・味 他のマンゴーを圧倒する力があります。
幻のマンゴーと 呼ばれる理由
日本で栽培される約95%は赤いマンゴー(アーウィン種)です。キーツマンゴーは非常に栽培面積が少なく、地元以外にはほとんど流通しません。
大きくて美味なのに、何故、栽培されないのか?
理由1:キーツマンゴーの収穫期は8月下旬から9月。お中元シーズンとずれるので、 贈答需要が見込めない。
理由2:ところが、台風シーズンとは 重なる上に巨果な為、 暴風雨での落果リスクが高い。
理由3:完熟の赤いマンゴーと異なり、 収穫後に追熟させるので、 食べ頃の説明が一般小売の店頭 では難しい為、販売しにくい。
つまり、売りにくい上に、栽培リスクが大きい為、地元消費用に栽培される程度で、幻のマンゴーといわれています。

巨大が故に 落果のリスクがつきまとう
見慣れたアーウィン種のマンゴーは平均果重400gですが、キーツマンゴーは500g〜2000gにもなります。平均で約700g。大きなものは赤ん坊の頭ほどの大きさになります。こんなに大きくなるので、自然に落果してしまうものもあり、栽培は大変です。
沖縄のマンゴーの受粉には 蜂が活躍
マンゴーの受粉期は2月〜3月、この時に花が水にぬれると受粉しにくいので、マンゴーはハウスの中で育ちます。受粉で活躍するのは蜂です。
また、マンゴーの大敵であるタンソ病(マンゴーの葉や実に黒いあざを作り、腐らせる病気)は水分を好むので、マンゴーに水か掛からないようにするのはとても大切です。このマンゴーの受粉の時の蜂蜜はとても濃厚だそうです。

上下2種類のひもが、キーツマンゴーの栽培では大切です。 重い果実を上から吊るひも。上に伸びる枝を下から引っ張るひも。
キーツマンゴーは本来、背が高くなります。その為、枝が上に伸びないように、下からひもでひっぱり、枝ぶりをコントロールします。また、大きくなると2kgにもなるキーツマンゴーの重さで枝が折れないように、上からマンゴーをひもで吊ります。
もちろん、大きく立派なキーツマンゴーを育てる為には、各農家はどの実を残すか?をよく考え、間引き(摘果)をします。その間引きの仕方で、マンゴーの品質は大きく変わります。
日焼けが大敵のマンゴー日よけの袋や傘を被せます。
沖縄の夏場の強い紫外線はマンゴーの肌を痛めます。その為、農家は一個一個のマンゴーに袋や傘をかけ、大切に育てます。

各農家から キーツマンゴーが集まる
今回、私が訪ねたのは、JAおきなわ豊見城支店与根集出荷場です。 各農家から集められたキーツマンゴーは、一個一個、手作業で熟度を見極め、計量されて箱詰めされます。生産量が少ないので、大規模な選果場は似合いません。
確かにどのキーツマンゴーも巨大です。平均果重は約700gですが、1kg以上は当たり前、私がこの日出会った最巨漢は何と1.8kgを超えていました。 ここまで育つと、マンゴーのイメージではないです。


キーツマンゴーの真の魅力
大きいことは間違いなくキーツマンゴーの魅力です。もちろん、追熟後は15度にもなる糖度は最高です。さらに、繊維質が少なく、滑らかな食感は、他のマンゴーとは一線を画します。
1kgサイズの可食部は約650g。味が濃厚な為、間違いなく、4人は堪能できます。
そのインパクトは赤いマンゴーの比ではないです。
キーツマンゴーの食べ頃の見極め方
アーウィン種のマンゴーは樹上完熟させ、自然に落ちるのを待ちますが、 キーツマンゴーは落果前に収穫し、常温で熟成させます。
じっと室温で保管し、食べ頃を待つべし!
最初はブルーム(白い粉)に覆われて、固いキーツマンゴーですが、熟してくるとマンゴーの中から油分が皮に浮いてきます。つまり、表面に艶が出てきます。
さらに数日すると、頭の部分(切り口)の周りにしわが寄ってきます。手で持った時の触感も明らかに柔らかになってきます。いよいよ食べ頃です。
皮の色は収穫時よりも黄色が強くなりますが、色の変化は個体差があり、一概には判断できません。油の艶と頭のしわがポイントです。収穫後2週間程度は追熟に必要です。しわが入ったら冷蔵庫で冷やして食べます。
※キーツマンゴーを冷蔵庫で熟成させることはできません。
キーツマンゴーは待てる人だけが食べられる、 究極のトロピカルフルーツです。
追熟前に食べると、甘い大根のようだとも言われます。
ほんの数日間、毎日、マンゴーと対話して、美味しい時を見極めてください。
(文・株式会社 食文化 代表取締役社長 萩原章史)